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最高裁判所第二小法廷 昭和51年(あ)359号 決定 1977年3月24日

本店所在地

大阪府吹田市藤白台四丁目二三番一号

株式会社井入工務店

代表者代表取締役

井入龍男

右の者に対する法人税法違反被告事件について、昭和五一年一月二九日大阪高等裁判所が言い渡した判決に対し、被告人から上告の申立があつたので、当裁判所は、次のとおり決定する。

主文

本件上告を棄却する。

理由

被告人本人の上告趣意は、違憲(一四条、三一条違反)をいう点もあるが、実質は、量刑不当の主張であつて、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。

よつて、同法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 岡原昌男 裁判官 大塚喜一郎 裁判官 吉田豊 裁判官 本林譲 裁判官 栗本一夫)

○昭和五一年(あ)第三五九号

被告人 株式会社 井入工務店

被告人の上告趣意(昭和五一年三月二八日付)

一、被告人の控訴を認めなかつた。

控訴審の判決は、罪刑法定主義を定める憲法三十一条ならびに法の下の平等を定める憲法十四条に違反します。

二、被告人は被告人を罰金一九〇〇万円(懲役十ケ月執行猶予二年付)に処した第一審の判決は量刑不当であるとの理由で控訴しました控訴の理由は、控訴審で提出しました控訴趣意書のとおりです。要するに被告人に対する罰金の額は同種の脱税犯に比べて著しく高額だと言うことです。というのは被告人が国税局に捕捉された金額も通常に比べて著く高く、その上被告人は国税局の調査に全面的に協力しており、又、国税局が約一億五千万円そうとうの追懲金の支払を命ぜられ現在ほそぼそと分納中なので被告人の資産状況から言つて支払困難な罰金といえます。

このような事情を考えずに言渡した一審判決は著しい量刑不当でこれを認めた控訴審の判決も著しい量刑不当です。

勿論罰金の額は法律に定められた範囲の中で決められていますが、その罰金額は著しく高く裁判所に許されている才量の程度を越えており結局罪刑法定主義を定める憲法第三十一条に違反します。又、同種の脱税に比べ被告人だけ著しく高い罰金に処せられたことは法の下の平等を定める憲法十四条にも違反します。

以上

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